多様性のある森林を目指して進むドイツ

枯死木

 

広葉樹の割合が増えつつあるドイツの森林。針葉樹一斉林からの針広混交化、複層林化は森の構造を豊かにし、リスクに強い森になります。近年の近自然林業推進によって、多様性が高まるドイツの森の姿が連邦森林在庫調査で確認されました。

多様性がある森は強い

1999年、巨大な台風がヨーロッパを襲いました。ドイツで特に被害の大きかったバーデン=ヴュルテンベルク州の森では針葉樹の木々がマッチ棒のようになぎ倒されました。その時に倒された木材量は、年間出荷量の3倍分にもなりました。また、2007年にはノルトライン=ヴェストファーレン州を大きな暴風雨が襲い、たくさんの針葉樹が無残にもなぎ倒されました。

このような教訓から、将来のリスクをより少なくするために、針葉樹林の針広混交林化が求められるようになりました。

針葉樹に広葉樹が入り混交林となることで暴風雨の被害に強くなるだけでなく、土壌が改良され雨水が良くしみ込むようになり、動植物が増え、地球温暖化などの環境リスクにより対応できる利点があります。

垂直の多様性、水平の多様性

樹冠層の割合

連邦森林在庫調査3より

多様性が増すことによって、より生態系が複雑になります。多様性には水平方向に広がる多様性と、垂直方向の多様性が考えられます。水平方向の多様性は樹種の変化やギャップの存在、地形の変化でパッチ構造が複雑になることによって生まれてきます。2012年の調査では4分の3以上の面積で複数樹種の混交が確認されました。

 

混交林の割合

連邦森林在庫調査3より

垂直方向の多様性は、樹冠層の構造です。調査の結果から68%の森で複数の樹冠層を持つことがわかりました。このような場所では単層林と比べて、様々な樹種や樹齢の木々が同一箇所に存在することになり、多様性に貢献しています。

増加する枯死木

枯死木量

連邦森林在庫調査3より

※2012年の調査より直径20cm以上から直径10cm以上に基準が変更された

自然の森では木の芽生えから枯れて分解するまで様々な段階の木がありますが、一般的に林業において枯死木は、病虫害の原因として即座に倒されてきました。しかし、近自然林業においては枯死木も、森林の多様性や循環におけるひとつの重要なファクターです。枯死木はそれを必要とするきのこ・地衣類・昆虫・鳥などの多くの生物にとって欠かせないものです。

ドイツでは枯死木の蓄積を進める政策を進めてきました。

その結果、蓄積は増え続け、現在は約20m3/ha、生きている森林蓄積量の6%ほどになりました。

しかし、枯死木は年に1m3/haほどのペースで分解されていくので、蓄積を維持するためには毎年それ以上の供給をし続けていかなければいけません。

 

以上のようなドイツが進めている森林の多様化は、林業リスクを回避するだけでなく、生態系の保護、利用者の保養、また多種多様な樹種の木材生産など、まさに森林の多機能性を最大限に発揮する手段にもなっているのです。

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