持続可能な森林利用を考えるにあたり、3本の柱である経済・環境・社会の要求をバランスよく実現していかなくてはなりません。2011年にドイツ政府は、これらの要求の課題を検討し、将来どのように解決していくべきかの指針をまとめました。
国際森林年に合わせた動き
2011年という年は国連が定めた国際森林年でした。ドイツ各地でも様々な関連イベントが行われ、どちらかと言えば地味である森林・木材業界も様々なイベントを通して持続可能な森林利用をアピールしました。
ドイツ政府は持続可能な森林に関する目標戦略の検討を2008年から開始し、森林所有者、林業界、木材業界、エネルギー業界、狩猟団体、スポーツ業界、自然保護団体など様々な関係者と共にシンポジウムを開き協議を重ね、2011年の国際森林年に「森林戦略2020」を議会で承認しました。
森林利用のバランスを計る
ドイツでは林業界、木材業界、自然保護団体、狩猟団体などが森林の利用を巡り、それぞれの意見を激しく主張しています。「森林戦略2020」は、森林に対する人々の高まる異なる要求に対して重要な項目を設定して、現在や将来の状況をどのように解決に導いて行けばよいかの指針を表しています。
「森林戦略2020」を読むことによって、現在のドイツの森林利用に関する課題や方向性を確認することができます。
ビジョンと目標
「森林戦略2020」では、将来の森林のビジョンと森林における重要な項目に置いて目標を定めています。
ビジョン
主に在来種からなる適地適木の、活力のある、気候変動に対応しうる森林を、持続可能な林業経営で保持し、さらに発展させる。森林は、人間生活に欠かすことのできない素材を供給し、動植物のための多様な生息圏を提供し、様々な保護機能や保養機能を保持している。ドイツにおいて、近自然的で安定的でありかつ多様な森林をさらに増加させる。
森林戦略2020の目標は、森林に対し増え続ける様々な社会的要求と森林が持っている持続可能な能力とのバランスを、将来を見据えながら発展していくことである。
そのための基礎は、経済・環境・社会という持続可能性の3本の柱を等しく留意することである。なぜならば、森林の持続可能な利用は、経済的な能力と環境的な責任と社会的な公正が必要不可欠だからである。森林戦略はドイツ政府の他の戦略、例えば国家持続可能性戦略、国家生物多様性戦略、バイオマスアクションプラン、気候変動措置と関連性を持っている。
重要項目と項目目標
1. 気候保護と気候適応
林業・木材業による、気候保護への貢献は重要である。森林の気候変動への適応は、引き続き社会、森林所有者、自然環境のための全ての機能を保障するために必要不可欠なものである。
2. 財産、仕事と収入
事業体の経済的な基盤及び林業・木材業の価値創造と雇用は保持しなくてはならない。
3. 原材料、利用、効率
持続可能な林業からの木材の生産は確保されなければならない。また、木材、紙、エネルギーのための持続可能な素材調達の環境整備を推進していく。増加する木材の国内需要は、2020年以降も国内の木材生産や、持続可能な新たな素材開発により満たすべきである。
4. 生物多様性と森林自然保護
森林内の生物多様性は適切な措置によって改善していかなければならない。林業と生物多様性の繋がりをさらに研究し、その知見をさらなる計画や決定に利用しなくてはならない。
5. 造林
ドイツの森林面積は保全されなければならない。また可能な場所は拡大されなければならない。森林の安定性、生産性、多様性、近自然性は信頼のおける一括したアプローチによって、持続可能で多機能的な林業により増加しなくてはならない。それには適地適木と主に在来種による造林が重要である。
6. 狩猟
狩猟は持続可能な林業に欠かかすことのできないものである。理論的で効率的な狩猟は森のエコシステムを保持し、近自然的で天然更新可能な森林を促進する。
7. 土壌と水の保護
森林の生産基盤である土壌は守らなければいけない。また、それに対する悪影響は避けなくてはならない。林業による水源涵養機能の、より適切な評価を検討しなくてはいけない。
8. 保養、健康、ツーリズム
保養のための森林と、その特別な文化的機能と能力は保持されなければならない。また自然や森林所有や経済への悪影響を及ぼすものは、適切な処置によって防がなくてはならない。
9. 研究、教育、消費者の啓蒙
森に対する様々な関心による利害の争いを避けるため、研究分野における莫大な努力が必要である。また、教育の提供や消費者の啓蒙は、森のエコシステム、持続可能な林業の能力、再生可能な素材についての理解にも繋がる。
次回以降、これらの項目を具体的に見ていきます。
日本のグリーンバイオ戦略も水面下では進んでいるようです。某社のSLD-MAGICという高性能特殊鋼。ロボットなどの多軸関節機械向けに、開発されたがなぜか。日本の森林は、木材の切り出しコストが高くて工業化になかなか組み込めない。だからまずは、ロボット産業を高度化するコア技術をあらいだし関節駆動のピニオンギアに現在応力されつつある。こういう分野横断的な発想は今後ますます重要になると思われる。
AI技術の拡大の中、高性能特殊鋼SLD-MAGICがロボット産業で最近よく使われるらしいけど、サーボモーターの駆動ピニオンギアの耐久性がよいということ。これがやがて日本のバイオ産業の拡大のコア技術だと気づくのは私だけだろうか。日本の森林はもっと経済産業における戦力化を考えたほうがいいし、自動車のバイオ燃料技術にも光を与えるべきだと思う。