そのクリスマスツリーは何の木ですか?

クリスマスツリー

 

クリスマスが近づくと、ドイツの街の至る所でクリスマスツリーが売られるようになります。それらの売られているツリーを良く見てみると、実は様々な樹種のツリーがあることが分かります。

ドイツのクリスマスツリー事情

本場ドイツではクリスマスツリーの飾りつけが長年のキリスト教の文化として定着しており、ツリーを販売する産業も大きなものになっています。

近年のドイツでのクリスマスツリーの販売数はおよそ2,500万本にのぼります。これは全国の4,000万世帯のうちの半数以上がクリスマスツリーを購入している計算になり、その売上高は7億ユーロにもなります。

クリスマスツリー栽培のための労働従事者数は、通年の雇用でおよそ8,000人、季節労働者が約7,500人いると言われています。

クリスマスツリー栽培の多くはプランテーション的に行われ、その栽培面積は30,000haから50,000haもあります。ツリーの栽培には、2,3年生の苗を植え付けてから約2mのクリスマスツリーを作るために、およそ8~12年の歳月がかかります。

ドイツで売られているクリスマスツリーの樹種は複数あります。それぞれ特徴が異なり、例えば販売価格は高いコーカサスモミなどは23-25ユーロ/m、安いドイツトウヒなどは10-12ユーロ/mで売られています。

クリスマスツリー

様々な樹種のクリスマスツリー

コーカサスモミ(Abies nordmanniana

ドイツのクリスマスツリーの中で人気ナンバー1を誇る樹種で、その販売数に占める割合は実に70%以上になると言われています。樹形が良く、また深緑色の葉はやわらかく肌にささりにくい特徴を持ちながら、デコレーションをかけても落ちない丈夫さがあります。また暖かい室内に置いても数週間は問題ありません。販売までの生育期間が長いため、価格は高めになります。ドイツの在来樹種ではなく、原産地は黒海周辺やコーカサス地方になります。

 

コロラドトウヒ(Picea pungens

クリスマスツリー

By USDA-NRCS PLANTS Database / Herman, D.E. et al. 1996. North Dakota tree handbook. USDA NRCS ND State Soil Conservation Committee; NDSU Extension and Western Area Power Admin., Bismarck, ND. – [1], Public Domain, Link

こちらも人気のクリスマスツリーです。樹形が良く、青色がかった葉は美しく、デコレーションを飾っても問題のない丈夫な枝が特徴です。しかし欠点としては、葉が尖っていて肌に当たると痛い、木の保存期間が短かい、といった点が挙げられます。また価格もコーカサスモミと同程度と、やや高くなっています。原産地はアメリカのロッキー山脈の辺りです。

 

ドイツトウヒ(Picea abies

クリスマスツリー

By Ivar LeidusOwn work, CC BY-SA 3.0 ee, Link

ヨーロッパ原産の樹種で、ドイツの山岳地帯にも多く生えています。クリスマスツリーとしては値段が安く、最もお買い得な樹種のひとつです。しかし葉の持ちは悪く、暖かい部屋では数日で葉が落ちてきてしまいます。

 

ノーブルモミ(Abies procera

原産地はアメリカの北西部です。緑~青色の太い葉はやわらかく、肌に刺さることはありません。葉からはオレンジの強い香りがします。樹形はやや不規則に育つ場合があります。保存期間は非常に長いですが、価格はコーカサスモミと同程度で少し高めです。

 

ベイマツ(Pseudotsuga menziesii

クリスマスツリー

By Tom Appel – I took this picture from my house, CC BY-SA 3.0, Link

北アメリカ原産の樹種ですが、現在ではドイツの森林においても木材生産の目的で多く育てられています。クリスマスツリーとしては柔らかい枝のため、重いデコレーションには向きません。葉は薄く柔らかく、レモンの香りがします。木の保存期間はコロラドトウヒと同程度(2-3週間)ですが、価格は少し安くなります。

 

ヨーロッパアカマツ(Pinus sylvestris

ヨーロッパアカマツは、ヨーロッパからシベリアまで広く分布しています。しかしクリスマスツリーとしての利用は、それほど多くはないようです。保存期間は長く、香りは良いですが、長い葉のせいで飾り付けが少し困難で、重いデコレーションにも向きません。

 

ドイツでは昔はドイツトウヒやコロラドトウヒも多く出荷されましたが、80年代以降はコーカサスモミが人気No.1になったようです。クリスマスツリーの世界にも流行り廃りがありそうですが、現在の人気からするとコーカサスモミの天下は当分揺るがないですね。

もしクリスマスの時期にドイツを訪れる機会があったら、本場のクリスマスマーケットを楽しむかたわら、クリスマスツリーの樹種の観察をしてみてはいかがでしょうか。

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