日本の林業を語る上でよく比較をされるのがドイツ林業。しかし、歴史や文化や環境が違う日本の森とドイツの森ではだいぶ様子が異なっています。では、現在のドイツの森の様子はどのようになっているのでしょうか?
全国一斉調査で測るドイツの森
在庫の量を知らずに商売を始める人はいません。林業も森の木を在庫として商売をしているので、持続可能な利用において資源量の把握はとても重要です。また森の状態を知ることによって初めて、施業の方向が正しいのか?法的に問題がないか?など、林政の確認をすることができるのです。
最新の連邦森林在庫調査は2012年に行われました。連邦森林法において10年ごとに行うことが定められているので、次回は2022年に実施予定です。それでは、2012年の連邦森林在庫調査結果からドイツの森林の状態を読み取っていきましょう。
ドイツの森は多い?少ない?
日本には森林が多いかと聞かれたら、ほとんどの人はYESと答えると思います。実際、日本の国土に対する森林率は66%にも上ります。一方ドイツの国土面積は日本とほぼ同じですが、森林面積は国土の32%かありません。しかし、日本の天然林が1,338万ha、人工林が1,035万haですので、木材生産を行う森林面積で考えた場合、ほぼ全ての森で木材生産を行っているドイツの森林面積1,140haは、日本の人工林の面積とほぼ同じになります。
意外な樹種構成
ドイツの地形は北部では平地、中部に丘陵地帯があり、南部は黒い森(シュヴァルツヴァルト)などの山地があります。平地と山地では主要な樹種が異なりますが、まずはドイツ全体の樹種構成を見てみましょう。
主な樹種は広葉樹ではナラ、ブナ、針葉樹ではトウヒ、マツで、この4樹種だけで全体の森林面積のおよそ74%に上ります。それでも、林業といえば針葉樹という日本のイメージからすると広葉樹の割合が目立ちます。近自然林業に舵をとったドイツでは広葉樹の面積が段々と伸びているのです。
地域的な特色では平地ではマツが、山地ではトウヒが多くなります。またモミなどは南部の黒い森(シュヴァルツヴァルト)に特徴的な木です。ドイツ全体としては気候的にはブナが優先する土地なので、これからもその割合は増えていくでしょう。
成熟した森
樹齢の分布をみると戦後に植えられた41-60年生の木が多くありますが、100年生以上の木もかなりの割合を占めています。針葉樹では100年生以上の割合が約20%、広葉樹では120年生以上の割合が約20%になります。2002年の調査と比較しても樹木の高齢化が進んでいるのが分かります。
120年生以上の広葉樹種をみると、ほとんどが主要樹種のナラとブナになります。目標直径に達するまで時間がかかるためです。広葉樹の収穫までには、何世代にも渡る人の適切な管理が必要になるのです。
このように、木材生産の場として日本の森とドイツの森を比較すると樹種及び林齢においてかなり異なることが分かりました。次回も連邦森林在庫調査の結果を詳しく見ていきます。
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