ある調査によると、ドイツ人の半数は月に1回森へ行き、4分の1は週に1回森に行きます。年間でみると、ドイツ人の森林への訪問回数は15億回にもなるそうです。
ドイツ人が森で行っていること
・散歩
老若男女問わず、ゆっくりと森を歩くことで、新鮮な空気を吸い、リラックスすることができます。また犬にとっても、都会のコンクリートを歩くよりも快適でしょう。
・Wandern(ハイキング)
Wandernは散歩よりも、長い距離を歩きます。また数日に渡って歩き続けることもあります。
・ジョギング
軽く汗を流したい時には最適です。
・ツーリング
電車で自転車を森の近くの駅まで運ぶこともできます。
・乗馬
ドイツで女の子がよく乗馬をするようです。
・ロッククライミング
残念ながら、登るのに適した岩場は限られています。
・クロスカントリースキー
そこそこの体力、技術、装備がいるため、夏場の散歩ほど気楽に行けません。
・スノーシュー
雪の上で歩きやすいスノーシューで、森を歩きます。比較的新しい森の楽しみ方です。
・キノコ採集/ベリー採集
秋になるとキノコや木の実が多くなります。
森で活動が行える理由
このように沢山のドイツ人が森に入って、様々な活動を行っています。ドイツ人がこれらの活動が行えるのには、3つの重要な要素があります。
1. 森林への立入権
ドイツでは国有林や私有林を問わず、(一部を除く)全ての森林への立ち入りが認められています。よって基本的に誰の土地かをあまり気にせず森に入れる訳です。また、公的な森のキノコや木の実、ベリーや山菜などの採取についても、自家消費程度であれば認められています。
2. 高密度な路網
ドイツの森林には、林業を行うための林道が縦横無尽に走っています。人々はそれを利用し、森に入って行くのです。元々は重い林業機械が走るための道ですから、幅も充分で、路面は砂利などで固く整備され、傾斜も緩やかです。それはおしゃべりをしながら散歩するにはうってつけです。ベビーカーさえも押していけます。人は道があるから森に入って行けるのです。
日本とドイツの「森(山)へ行く」ことに対しての意識調査などがありますが、まず根本からそれぞれが思い浮かべている図が違うのです。日本で「森(山)へ行く」ことは、主に登山を意味し、それなりの準備や装備が必要と感じます。ドイツで「森(山)へ行く」と聞くと、多くの人がゆるやかな林道を歩く散歩を想像するでしょう。
森林の利用度において、肉体的に「疲れること」と「疲れないこと」の違いは、単純ですが、かなり大きなハードルの違いになってくると思います。
3. 地理的条件
日本では山岳地帯が多く、人々は沿岸部の平地の都市に集まって暮らしています。一方ドイツでは、都市は森で囲まれるように存在しています。すぐ近くに森があるという地理的条件も、ドイツ人が森によく行く要因になります。
森が好きだと言われているドイツ人。それは純粋に民族的なものでしょうか?いま日本人がそっくりそのままドイツへ住むことになったら、きっと多くの日本人が森へ行くと思います。しかし、歴史的に市民が権利を勝ち取り、法を構築し、道の整備を行い、美しい森林を培ってきたドイツ人は、結局は森の民なのでしょう。
コメントを残す