バイエルン州の森林内自然保護戦略

故損木

 

ドイツのバーデン=ヴュルテンベルク州が策定した「古木・枯死木コンセプト」は、国有林全体として、ハビタット木・枯死木を増やしていくものでした。一方バイエルン州の施策は、森林をゾーニングして、価値のある林分を重点的に保護していくものです。

バイエルン州の自然保護コンセプト

2009年にバイエルン州の林業公法人企業は、国有林における「自然保護コンセプト」を策定しました。それにより森林内における自然保護、具体的にはハビタット木や枯死木及び希少な生息環境(岩地・河川など)の保存の指針が示されました。

「自然保護コンセプト」では森林内の林分の状況によって、自然保護の観点から4つのクラスの区分けをしています。クラスを分ける条件は示されていますが、その条件は絶対的なものではなく、各地の営林署の地域状況による専門的な必要性によって決定することになっています。クラスによって分けられたそれぞれの林分には、ハビタット木や枯死木の保存措置が定められています。

クラス1~4の条件と措置は下記のとおりです。

・クラス1:古い近自然的で希少な林分

条件

-180年生以上のブナ林

-300年生以上のナラ林

-180年生以上のトウヒ林

-180年生以上の山地混交林

-ハビタット木に適した古いマツ林

-過去に人為的に利用された林(低林・中林・放牧林など)

措置

森林地図上に記載。目標は人為的な影響のない森林の発展。1ha以下は禁伐。例外的に、価値のある木で、ハビタット木となるような特徴(キツツキの穴や洞など)がなければ伐採も可能。

・クラス2:やや古い近自然的な林分

条件

-140年生以上のブナ林、ナラ林、トウヒ林、山地混交林

-80年生以上の特別な箇所にある近自然的な林分(湖畔林、乾燥地など)

措置

40 m3/haの枯死木の保存

10本/haのハビタット木の保存

・クラス3:若い近自然的な林分

条件

-クラス2の条件で、樹齢がクラス2に届かない林分

措置

20 m3/haの枯死木の保存

10本/haのハビタット木の保存

クラス4:その他の林分

条件

-クラス1からクラス3に当てはまらない林分

措置

枯死木・ハビタット木の保存(量的な指標ななし)

 

山岳地の設定

山岳地では上記のクラス分けとは別に、山岳地用のクラス分けを行います。

バイエルン州には標高が高い大規模な山岳地が多く、林分の構造が豊かで、樹齢も小面積で異なってくることからこの措置が取られています。

各営林署により作成された地域コンセプト

「自然保護コンセプト」の策定を受け、バイエルン州の国有林の各営林署は2017年までに、地域ごとの自然保護コンセプト計画を作成しました。地域コンセプトにおいて営林署は、それぞれの地域の森林の状況から管轄林を4つのクラスへ区分けし、それぞれのクラスの自然保護の目標と措置や、その他の特殊な生息環境の扱いについて具体的に定めています。

4つのクラス分けについては、各地域の地理的事情、歴史的背景によりそれぞれの面積率が異なります。平均では各地の管轄林に対して、クラス1が約2%、クラス2が約5%、クラス3が約24%、クラス4が約69%の面積でした。クラス1は1%未満の所も多く、クラス2も全体的にそれほど多くはありません。クラス3及びクラス4については地域ごとの偏りが大きく、クラス4が98%以上を占める地域もありました。

営林署におけるクラスごとの割合

営林署におけるクラスごとの割合

バイエルン州の「自然保護コンセプト」は、現存する樹齢の高い林分において集中して自然保護をする戦略です。バーデン=ヴュルテンベルク州の「古木・枯死木コンセプト」と比較すると、長所と短所はどこにあるのでしょうか。

長所として、価値の高い生息環境になりうる樹齢の高い林分で重点的にハビタット木や枯死木を増やすことは、比較的即効性のある、生態学的に有効な手段と言えます。短所としては、地域によりクラスの面積が異なり、経済的な負担が偏ることや、クラス1の禁伐区をビオトープネットワークの飛び石と考えた場合、全体として飛び石の配置の偏りが大きくなってしまう気がします。

結果的にどちらの方策が効果的か分かりませんが、クラス2における40 m3/haという高い枯死木の保存量は、非常に意欲的な数字と言えるでしょう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です