100年ぶりのオオカミの復活で何が起こったか

オオカミ

 

100年にわたる絶滅状態を経て、ドイツにオオカミが戻ってきました。ドイツへ戻ったオオカミは徐々に数を増やし、生息域を拡大しています。歓迎する自然保護団体、不安に陥る住民、困惑するハンター。オオカミの帰還はドイツで様々な論争を巻き起こしています。

オオカミ(Canis lupus)

イヌ科イヌ属

オオカミ
  • 体長1.20 m – 1.40 m
  • 肩高 0.70 m – 0.80 m
  • 体重 35kg – 50 kg

シカやイノシシ、小動物、昆虫や果物などを食します。主に家族で群れを作り行動し、集団で狩りをします。

絶滅そして帰還

ドイツでは人間や家畜への被害の恐れから、オオカミは狩猟対象にされ、その数を減らし続けました。1850年に最後の群れの消滅が確認され、その後、単独での生息状況があったものの、1904年に最後の個体が撃たれ、絶滅しました。

1990年にドイツ全土でオオカミが保護下におかれると、2000年にドイツ東部のザクセンで、ポーランドから移動してきたオオカミの繁殖が確認されました。

その後も、主にドイツ東部・北部で徐々に生息域を広げ、2017年現在では60の群れと13のペアの存在が確認され、合計150~160匹ほどの成獣がいるとされています。

喜びと不安

ドイツで再びオオカミが定着したことに対し、自然保護団体は喜びの声をあげています。一方ドイツの一般市民の、オオカミに対する意見はどのようなものでしょうか。

自然保護団体よって、オオカミに関するアンケートが全国規模で行われました。“オオカミが再び戻ってきたことは喜ばしいか”との質問に対しては、80%のひとが喜ばしいとの回答をしました。“オオカミがいる地域で森へ行くことに不安があるか”との問いには30%の人が、不安があると答えました。

 “オオカミが戻ってきたことで何かしらのリスクが生じるか”という問いには、37%のひとが“そのように思う”と回答しました。この数字はオオカミが住んでいない地域を含む全国平均のものなので、例えば実際にオオカミが生息している、ニーダ―ザクセン州の結果では45%と、全国平均と比べ若干高い結果が出ています。

家畜の被害

オオカミ被害

DBBWより

ドイツでは、オオカミによる人間に対する直接的被害は未だありませんが、家畜の被害が起こっています。オオカミにとって、無防備な家畜は簡単にありつける獲物なのです。近年のオオカミの増加にしたがって、家畜への襲撃が増えています。

図にあるように、2016年には1,000頭以上の家畜が、オオカミによって被害に遭いました。これに対し行政は、農家によるオオカミ対策に補助金を出し、家畜の保護に乗り出しました。対策としては、牧場を90cmの高さの電気柵で囲います。対策をより有効するためには犬を飼い、彼らに家畜を守らせることです。

また農家は家畜がオオカミに殺された際、専門家の判定によってオオカミの被害と断定されれば、被害に対し補償が受けられます。

2016年に、行政が電気柵などのオオカミ対策に払った費用は100万ユーロ、家畜の被害に対する補償費は10万ユーロを越えました。

ハンターとの対立

オオカミはシカやイノシシなどの動物を捕食しているので、それらの獲物を狙うハンターとはいわば対立関係にあります。オオカミの増加により、今後ハンターによる猟が難しくなる恐れがあります。また、現在起きている家畜などの被害の増加も受けて、ハンターから、条件付きのオオカミの駆除を求める声も上がっています。

 

ちなみに、ドイツではクマも1835年に絶滅しました。その後2006年に、ドイツのバイエルン南部、オーストリアとの国境付近に、170年振りとなるクマが出現しました。そのクマは何匹かの家畜のヒツジを襲い、人間の居住地に近づいたため射殺されました。野生動物の復活は、人間にとって喜ばしいだけのものではありません。その関係性については社会において議論が尽きません。

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